人の気持ちはいつからわかるようになる?サリーとアンの課題からみる心の理論とは

わたしたちが他人の気持ちを理解し始めるのは「心の理論」と呼ぶ能力の発達に関わっています。
心の理論とは、他者の行動をみて、その人が何を考えているか、どんな気持ちなのかを想像する能力のこと。
この力は、コミュニケーションや社会性に大きな影響をあたえます。

心の理論の発達

一般的に、3歳から5歳くらいの子どもたちは、他者の視点を理解する能力が発達しはじめるといわれています。
そしてだいたい4歳ごろを境に、「一人遊び」から「ごっこ遊び」へと発展していきます。
この「ごっこ遊び」をすることが、他者をイメージすることができるようになったということなのです。5歳頃になるとかなりの精度で他人の考えや意図を読み取れるようになっていきます。

サリーとアンの課題

ではここで、「心の理論」の研究で広く知られている「サリーとアンの課題」をご紹介します。
この課題は、「他人の気持ちを理解する能力」をはかるためによく使用されてます。

1.登場人物を紹介する

子どもに登場人物を紹介します。

サリー:青い服を着た女の子
アン:赤い服を着た女の子
箱とバスケット:サリーとアンの前に置かれています

2.シナリオ

子どもにシナリオを伝えます。

  • サリーは大きなビー玉を持っていて、それをバスケットに入れます。
  • サリーがいない間に、アンはビー玉をバスケットから取り出し、箱に移動させます。

3.質問

ここで子どもに質問をします。
「サリーが戻ってきました。サリーは、ビー玉をどこでさがすと思う?」

この課題で子どもが正しく答えられるかどうかは、他者の視点や考えを理解できるかにかかっています。
サリーは、アンがビー玉を、バスケットから箱に移動させたことを知りません。

正解は
サリーは「バスケット」をさがす。

サリーがビー玉を最初に置いた場所(バスケット)を探すと答えられれば、その子は、サリーがまちがっていることを理解していることになります。
「サリーが知らないのだ」ということを理解できているということなのです。


サリーが箱を探すと答えれば、その子どもは、サリーの視点から物事をみることができていないということ。まだ、他の人の気持ちや考えを理解することはむずかしい段階であるといえます。

心の理論の発達のためにできること

このような心の理論が発達することで、子どもは他人の感情を理解し、共感する能力を高めます。
例えば、友達が悲しんでいるときにはその理由を理解し、適切な対応をすることができるようになります。友達の感情や考えを推し量れるようになるからです。

心の理論の発達を助けるためには、次のようなことが効果的だといわれています。

  1. 感情のラベリング:日常生活の中で感情を言葉にすることで、子どもが自分や他人の感情を認識しやすくなります。
  2. 読み聞かせ:絵本や物語を読むことで、キャラクターの感情や行動をことばにして話し合いましょう。

また、EQ子育てレッスンでは、このような「感情の理解」「感情の発達」についてさらに詳しく学んでいくことができます。メルマガでも情報をお届けしています。こちらからご登録ください。

心の理論は、子供が他人の気持ちを理解するための重要な能力です。
サリーとアンの課題を通じ、子どもの発達の理解を深めることで、ぜひ子育ての参考にしてくださいね。


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