何がちがう?子どもを甘えさせてもいいとき、甘やかしてはいけないとき

子どもが大きくなってきたのに、抱っこしてほしいと言ってきたり、できるようになったことでもやってほしいとぐずぐずしたり。
子育てをしていると「甘えさせたほうがいいのか、それとも少し距離を取るべきなのか」と悩むことも多いですよね。そもそも、子どもは甘えさせてもいいのか、それともNGなのか?
今回は、そんな悩みのヒントとなる「甘え」と「甘やかし」のちがいについてご説明します。

「甘え」は「こころの絆」をつくる

実は「甘え」は、とても大切な行動です。子どもが自分から甘えてきたとき、じゅうぶんに気持ちに応えることで、親子の間には「アタッチメント(愛着)」の関係が生まれます。
愛着とは、特定の大人と子どもとの間につくられる「こころの絆」のこと。
愛着の関係ができると子どもは、大人(多くはお母さん)を「安全基地」ととらえます。
お母さんという安全基地があることで、子どもは安心して外の世界に踏み出せるようになっていきます。(これを探索行動といいます。)
そして外の世界で不安を感じると、子どもは安全基地であるお母さんのもとに戻り、甘える(アタッチメント=くっつく)のです。
そこでお母さんに甘えさせてもらうことで「大丈夫、ここは安心できる場所だ」と感じます。こうした経験を繰り返すことで、子どもは人に対する基本的信頼感を持つようになります。

甘えさせても良い場合とは

子どもを甘えさせても良い場合とは、子ども自身が不安やストレスを感じているときや、新しい環境に直面しているときです。つまり、子どもが精神的に成長するための前段階とも言えます。

例えば、保育園や幼稚園に行く前など、子どもが不安そうに抱っこを求めることがあるかもしれません。このような場合はしっかり抱きしめて「大丈夫だよ」と安心させてあげましょう。
また、子どもが疲れている時や体調が悪いときも、不安な気持ちが強くなり、赤ちゃんのように甘えてくることがあります。このようなときにも気持ちに応え、安心感を持たせていくことが大切です。

甘やかしてはいけない場合

一方で、甘やかしにつながる行動には注意が必要です。
「甘やかし」とは、大人が自分の都合で、子どもを過保護にすること、過干渉してしまうことです。

例えば、子どもが「おもちゃを買って」と言い続ける場面を考えてみましょう。
このような行動は「試し行動」と言い、大人がどこまで自分の言うことを聞いてくれるか試しているのです。
最初はダメと言っていたのに、子どもが泣いたり、怒ったりするので、結局買い与えてしまうことがあるかもしれません。これでは大人がこどものいいなりになってしまっています。
こうすることで子どもは「泣けば何でも手に入る」と学習してしまいます。これは「甘やかし」につながります。

また、子どもが自分でできることまで親がすべてやってあげるのも甘やかしです。例えば、着替えができる年齢なのに、毎朝親が全部着替えを手伝ってしまう場合など。
このように「甘やかし」てしまうと、子どもが自分で行動する力を身につけることができません。

子どもの「甘やかし」を防ぐためには、事前に家族のルールをきめておくことが効果的です。

じょうずな「甘えさせ」が子どもの自律をつくる

このように「甘え」と「甘やかし」はちがいます。
小さいうちに大人にしっかり「甘える」ことができた子どもは、いつも安定し、精神的に自律していくものです。
なぜなら、その大人と子どもとの間には、しっかりとしたこころの絆があるから。
何があっても自分を守ってくれるお母さん(安全基地)が自分にはあると感じることで、新しいことに挑戦する勇気を持てるからなのです。
「甘え」は、こころの絆をつくり「甘やかし」は自律を妨げます。
「甘え」と「甘やかし」のちがいを理解し、親子のコミュニケーションの参考にしてみてくださいね。


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