先日、こんなこだわり行動についてのご相談がありました。
その対応の仕方についてお話してみたいと思います。
順番へのこだわり
そのお子さんは、今とても「順番」へのこだわりが強いそうなのです。
それも、なんでも自分が最後にやるというこだわりだとか。
自分が一番先というのはよく聞くけれど、「最後」というところにもヒントがありそうです。
そのお子さんは、放課後等デイサービスに通っているそうで、帰りは車で送迎があります。
でも降りる順番が最後から2番目で、自分が一番最後ではありません。
最後がいいと言いますが、もちろん聞いてもらえません。
無理やりバスから降ろされたあとに、気持ちの整理ができず道端で15分以上泣き叫んでしまうということでした。
特性があるからこその対応のむずかしさ
発達の特性にあまり理解のない人からすれば、
「こどものしつけがなってない」とか
「甘やかしてるからこんなことになる」とか
「虐待なんじゃないか」
などと思う人もいるかもしれません。
でも、とんでもない。
ご家族は、いつでもとても一生懸命にお子さんに向き合っているのです。
だけれども、発達障害のある子は言って聞かせるだけでは通じない。
普通の子育てとは違う難しさ、大変さがあるのです。
その子はどんな気持ちなのかを想像する
今回の場合、「自分が最後がいい」というこだわりは自我の現れのように感じられます。
知的な発達も少しゆっくりなのだというそのお子さん。
最近はできることが増えてきて自信がついている。
なんでも自分の思い通りにしたいという気持ちがこだわりとなって、表れているのかもしれません。
これは、障害のあるなしにかかわらず発達の過程でどの子も通る道ではあると思います。
でも今のように無理やり、「それはダメ、いうことをききなさい」
と押さえつけてもこじれるだけでしょう。
では、どうしたらよいでしょうか。
こだわりを解決するためにどんな方法があるか
こんなときはどうしたらいいか、方法をいくつか考えてみることがおすすめです。
例えば、
- 見通しを立てるために順番のボードで説明してから送迎に入ってもらう(見通しをたてる)
- はじめからその子の順番は最後にしておいてもらう (泣いたからじゃあ最後にしてあげるという対応はNG)
- バスの中で、お友達みんなで、「次は誰のうちにいく」と確認し合う
などなど…
でも、方法を考えること以上に忘れてはいけない、一番大切なことがあります。
困りごとを相談できる関係性をつくる
今、考えてみた解決方法はどれもご家族だけではできないことばかりです。
放課後等デイサービスの支援員さんに協力してもらう必要があります。
だから、まずは率直に支援員さんに相談してみること。
その際大切なのは、
「こうしてください」ではなく
「こんなことに困っています」
ということです。
「You メッセージ」 と 「I メッセージ」
という言葉があります。
「あなたが〇〇してください」(ユー メッセージ)ではなく
「私は○○と感じている」(アイ メッセージ)
と伝えるようにする。すると、とてもコミュニケーションが円滑になるのです。
相談した結果はどうだった?
後日、その方は相談した結果を教えてくれました。
放課後等デイサービスに相談したところ、すぐに対応してくださったとのこと。
まず、責任者の人(とても子供の扱いが上手だそうです)がバスに搭乗。
そしてその子に、見通しボードで何回も順番を確認してから送ってくれたそうです。
その結果、その子はびっくりするくらいにあっさりとバスから降り、家に入ったとのことです!
事業所の対応も見事でしたが、ご家族の相談の仕方がとても上手だったのだろうと思います。
みんなでチームになって子育てを
いかがだったでしょうか。
子育て中は障害があるなしに関わらず、困りごとに遭遇することが沢山あると思います。
そんな時はご家族だけで抱え込まず、「アイ メッセージ」を上手に使って相談してみてください。
ご家族も支援者もチームになって、お子さんの成長を見守っていってくださいね。
メルマガのご登録もお待ちしています