愛着(アタッチメント)の形成は、自己肯定感やコミュニケーションを育むうえで、とても大切なものです。
そのためにも、コミュニケーションの発達がどのような段階を経ていくのかを知っておくことは、子育ての目安となることと思います。
今回は、乳幼児期のコミュニケーションの発達段階についてお知らせします。
①胎児期
コミュニケーションの発達は胎児のときから始まります。
コミュニケーションの基本は1対1の関係です。
それがはじめて行われるのが、胎児期の赤ちゃんと母親です。
母親がお腹をさすったり、語りかけたり、歌を歌ったりすること。
そのような働きかけが、赤ちゃんに刺激として伝わり、お腹の中で反応を示すことがわかっています。
生後間もない赤ちゃんは、自分の母親と他の女性の声を聞き分けたり、自分の母親と他の女性のお乳のにおいがかぎわけらるのだそうです。
特定の1対1での関係で形成される愛着(アタッチメント)。
安心安全なお母さんのお腹の中から、その形成がはじまるのですね。
②準備期 0か月~2か月ごろ
うまれたばかりから2か月ごろまでは、まず周囲の環境に適応するための準備期です。
この時期に、乳児と養育者(多くは母)との間で、コミュニケーションの基礎がつくられていきます。
この時期には、赤ちゃんは「快・不快」という2つだけを感じています。
「不快」であれば、泣く。
「快」であれば、起きている、眠る、声を出す。
このようにわかりやすいシグナルで、自分の状態を伝えています。
この時期の対応
この時期の赤ちゃんは、まだ身体の感覚が優位です。
- 優しくさわる、だっこする、揺れるなど身体を通した関わりを多くもつ。
- くすぐりや、タッピングなど、気持ちよさを感じられる遊びをする。
- 気持ちよくすごせるような環境を整える
赤ちゃんは、自分が不快なとき、いつも助けてくれる人がいると感じられる。
まだ、意識しているわけではないけれど、身体で愛着(アタッチメント)を感じ始めます。
③二項関係の時期 2か月~4か月ごろ
二項関係とは
「赤ちゃん(自分)とお母さん(他者)」「赤ちゃんとおもちゃ(物)」のように、特定の対象と1対1で構成されている関係のことです。
この時期になってくると、大人が話しかける声のリズムにあわせて、手足を動かす。
大人の顔を見つめて微笑む(社会的微笑といいます)などがみられるようになります。
また、喉の奥でクークーという音(クーイング)をだすようになります。
これらは、赤ちゃんが自分から積極的に関わりを持とうとする、相互コミュニケーションのはじまりです。
この時期の対応
この時期は、人に注意を向けるようになってきたはじまりの時期です。
- リズミカルに声を聞かせる
- パターンをきめたやりとりで遊ぶ
- 子どものだす声や、微笑み、身体の動きなどの反応に、やさしく応答する。
- 子どもの声やしぐさを同じように繰り返す、
- 言葉で「笑ったね、楽しいね」など意味づけをする。
視線を合わせることもできるようになってきます。
大人と同じものをみることも増えてきます。
いつも自分を助けてくれる大人と、楽しいことを一緒にする。
この時期の赤ちゃんは、人との関わり(コミュニケーション)は楽しいと感じ始めるのです。
コミュニケーションの発達段階を知る意義
大人になって、コミュニケーションに悩む人は多いのではないでしょうか。
でも、コミュニケーションの力はこんなに小さいころから育まれるものなのですね。
子どもを育てる時にこのような知識を知っていることは、とても大きな意義をもちます。
次回は、生後4か月以降には、コミュニケーションがどのような発達段階をたどるのかをお伝えしていきます。
参考:障害の重い子どものコミュニケーション評価と目標設定 問いから始める発達心理学
発達障害のある子の子育てのヒントをメルマガでお届けしています
ご登録をお待ちしています