発達障害と診断される代表的なものに「ASD」「ADHD」「SLD」があります。
その中のひとつ、「ASD」について説明します。
ASD(自閉スペクトラム症)
ASDは「Autism Spectrum Disorder」の略。
日本語では、自閉スペクトラム症と訳されています。
発達障害の診断基準であるDSMー5からは
自閉症、アスペルガー症候群、広範性発達障害と呼ばれていたものが総称され、ASDと言われるようになりました。
ASDは脳の機能の問題
ASDの原因ははっきりわかってはいませんが、遺伝的要素など様々な要因が複雑にからみあったものと考えられています。
つまり、育て方やしつけが原因ということではありません。
また近年、ニューロダイバーシティ(脳の多様性)という考え方が広まっています。
ニューロダイバーシティについてはこちらもご覧ください
→ニューロダイバーシティって何?今みんなが知っておきたい多様性の考え方
これらは「障害」というよりも、脳の違いであり、これらは人間のゲノムの正常な変異であるという見方です。
ASDのある子の特徴
①言葉の遅れ 対人コミュニケーションの困難
定型的に発達するタイプの子は、乳児期に対人コミュニケーションの基礎が育まれていきます。
通常、乳児期の子どもには、
・物よりも人に注目する
・女性の声の高さの音の周波数を聞き取りやすい
などの特徴があります。
このように物よりも人を特別視することにより、言葉やコミュニケーションを身につけていくためのメカニズムが組み込まれています。
ですが、ASDの人は、その機能に特性があります。
そのため相手を意識したやり取りが行われづらく、その結果、言葉の遅れや、コミュニケーションの難しさにつながっていると思われます。
②興味あるものへ強い関心を示す(こだわり)
ASDのある子は、自分の興味のあるものに対しとても強い関心を示します。
また興味の幅が狭く限定的であるともいわれています。
その結果、数字や、身支度の順番、道順や物の置き場所など一度決められたルールに固執するといったこだわりが特徴としてあげられます。
ASD(自閉スペクトラム症)のタイプ
ASDには、下記の3つのタイプがあります。
①知的障害を伴う自閉症
コミュニケーションの困難があり、知的な遅れを伴うタイプです。
言葉の遅れなどで気づくことが多いです。
②高機能自閉症
言葉の遅れはありますが、知的な遅れはありません。
コミュニケーションが困難なことが多く、強いこだわりを持つことがあります。
③アスペルガー症候群
言葉の遅れや知的な遅れはありません。
強いこだわりをもつことがあります。
コミュニケーションにも困難をもつことがあります。
ASDの強みをいかせるような支援
しかし、一般的にASDの人の特性は次のような強みになることが多いです。
- 記憶力に長けている
- 一つのことに集中できる
- 論理的な思考ができる
- ルールを守る
ASDの人の特性を強みとして社会の中で活かしていくことは、今とても注目されています。
そのためには、早くからその特性に気づき、その子にあった環境を整えていくこと。
また、その一人ひとりにあった支援や関わりをすることにより、対人恐怖や不安感、自尊心の低下などの二次的な障害を防ぐことが大切です。
もし、お子さんのことで困っていることがある、
ASDかもしれないなどのご心配があればぜひお近くの支援機関などに相談してみてください。
メルマガで子育ての悩みを解決