赤ちゃんは、いったいどのようにしてことばを覚えていくのでしょうか。
考えてみると、とても不思議ですよね。
赤ちゃんが言語を獲得していくための、ことばの聞き取りの発達段階についてまとめてみたいと思います。
①母語のことばを聞き取る
ことばを覚えるための第一歩はまず、「ことばを聞き取る」ところからはじまります。
実はうまれたばかりの赤ちゃんは、どの国の言語も聞き取ることができるのだそうです。
アメリカの心理学者パトリシア・クールはアメリカと日本の赤ちゃんに対し「L」と「R」の発音を聞き分ける調査をし、発達段階に応じどう変化するのかを調査しました。
興味がある方はこちらのTED動画をご覧ください→赤ちゃんは語学の天才
その結果、生後6~8か月まではどちらの国の赤ちゃんも「L」と「R」の聞き分けができていました。
しかし、10か月を過ぎると、日本の赤ちゃんは「L」と「R」の聞き分けができなくなってしまいます。
つまり、赤ちゃんは9か月ごろを境に、自分が聞き分ける必要のない音の聞き分けを無視するようになるということです。
そうすることによって、赤ちゃんは効率的に自分の使うことばを覚えられるようにしているということではないかと考えられています。
②会話の中から単語を切り出していく
はじめて赤ちゃんが「ミルク」をみてから、これが「ミルク」という名前のものであると理解するまでには、とても大変な作業が必要です。
日常会話の中では「ミルクが」「ミルクを」「こなミルク」「ミルクですよ」など「ミルク」ということばにさまざまな音がついてきます。
赤ちゃんは、たくさん聞こえてくる会話から、それらの音を聞いています。
その中から「ミルク」と「が」をわけて「ミルク」だけを切り出すという作業が脳の中で行われているのです。
このように、単語を切り出すことは生後8か月ごろからできるようになってくると言われています。
赤ちゃんは、周りの人の会話を聞くことで、たくさんの分析を行い、その規則性に気づいていくのだそうです。
(「ミルク」という音の並びのほうが「ルクが」「クを」などということばの並びよりも多いなどのようにということ)
③ことばの意味がわかり、語彙爆発がおきる
このようにして赤ちゃんは、だいたい1歳くらいまでに、会話のなかに含まれる単語を聞き取れるようになっていきます。
そして、その単語がなにを示しているのかがわかるようになるためには大人の存在がかかせません。
4か月から10か月くらいまでの間に赤ちゃんは、大人が注意を向けているものに自分も注意をむけることができるようになっていきます。
これを「共同注意」といいますが、それについてはぜひこちらを参考にしてみてください。
→知っておきたい乳幼児期のコミュニケーションの発達段階②三項関係の成立
おとながりんごを指さして「りんごよ」と言っているのを聞き、「ああこれがりんごなんだ」と理解する。
それを繰り返しできるようになる1歳半ごろには、たくさんのことばを覚える語彙爆発の時期をむかえるのです。
まとめ
赤ちゃんのことばの発達は、おとなの会話を聞き取るところからはじまります。
実は、聞こえてくる会話が赤ちゃんにとってはことばを覚えるための学習だということですね。
おとな同志の会話でも、穏やかで聞き取りやすい話し方を心がけましょう。
ことばの獲得は、コミュニケーションや学びのはじまり。
聞き取りの発達段階を知ることで、お子さんの豊かなことばの世界をサポートしてあげてくださいね。
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